小田原 雅人 × 西川 りゅうじん 【知っ得健康対談】

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健康寿命をのばそう運動主宰 西川りゅうじん氏 × 東京医科大学 主任教授 小田原雅人先生

5人に1人が糖尿病患者か予備軍 自覚症状なく進行する恐ろしい病気を防ごう!
糖尿病が引き金となり合併症で失明や足切断?

西川:近年、糖尿病患者が激増しています。毎年、あざみ野の人口の10倍の約15万人ずつ増えている計算になります。

小田原:全国の糖尿病の患者数は神奈川県の人口より少し多い約950万人、糖尿病予備群は1100万人。国民の5人に1人が患者か予備軍です。70歳以上では男性の4人に1人、女性の6人に1人が糖尿病にかかっています。

西川:女性より男性の方が多いのはどのような理由からですか?

小田原:男性の方が生活習慣に問題のある人が多いからです。生活習慣の悪化による肥満などが大きな要因となり、男女ともに糖尿病患者が増えているのです。

西川:糖尿病は、それが引き金となって失明したり、足を切断しなければならないことさえある恐ろしい病ですが、最初に自覚症状はないのでしょうか?

小田原:喉の渇き、トイレが近い、急な体重減少、倦怠感などが初期症状として挙げられますが、相当に悪化するまで、ほとんど自覚症状のない場合が多いのです。

西川:この病の本当の恐ろしさは併発する「6大合併症」にあると言いますね。

小田原:糖尿病の合併症は高血糖によって大小の血管が侵されることで起こります。細い血管の障害が目に起これば網膜症で失明に至ることもありますし、腎臓に起これば腎症、神経に起これば神経障害を引き起こします。太い血管の障害(動脈硬化)が脳に出れば脳卒中(脳出血・脳梗塞)を起こし、心臓に出れば心筋梗塞・狭心症になり、足に出れば末梢血管障害を起こし、壊疽ができて足を切断しなければならないこともあります。

西川:まさに魔の連鎖を招く病気ですね。

小田原:網膜症や腎症など合併症発症の可能性は「高血糖×罹病期間」であり、血糖値の高い状態を長く続ければ続けるほどリスクが高まります。糖尿病は、自覚症状がなくとも静かに症状が進行し、数々の深刻な合併症を引き起こす恐ろしい病気であることを知っていただきたいです。

西川:糖尿病は他にもさまざまな病気の温床になりやすいのですね。

小田原:糖尿病患者はがんのリスクが約20%も上がります。肝臓がんや膵臓がんは約2倍、大腸がんは約1.4倍もなりやすいのです。また、アルツハイマー型の認知症は糖尿病でリスクが上がります。

西川:アルツハイマー病は脳の糖尿病とも呼ばれていますね。

小田原:さらには、歯周病や骨粗鬆症になりやすいですし、骨密度は落ちていなくても骨が変性して骨折しやすくなります。また、糖尿病を患うと免疫力が下がるので、肺炎等のいろいろな感染症にもかかりやすくなるのです。

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思い立ったが吉日 早く検診に行った者勝ち!

西川:糖尿病性の腎症が悪化すると、高額な治療費と長い時間を要する人工透析を受けねばならないので大変ですね。

小田原:糖尿病性腎症は人工透析を受ける患者の原因のトップであり、1人当たりの治療費は年間約580万円かかります。

西川:それは重い!そもそも、人工透析とはどういうものですか?

小田原:腎臓が悪くなると老廃物を尿で排泄できなくなります。体内に有害な成分と水分がたまって全身がむくみ、肺に水がたまれば肺炎を起こすなど危険な状態に陥ります。そこで、機械に血管をつないで血液から水分と老廃物を取り除き、きれいになった血液を体内に戻すのです。1日5時間、週に約3回行いますが、病院への行き帰りも含め一回8~9時間は拘束されることになります。

西川:本当に大変ですね。社会的コストも増大する一方だと聞きます。

小田原:日本には健康保険があるので一定の自己負担で透析を受けることができますが、それが大きな社会的負担となっており、このまま患者が増え続けると現在のシステムを維持できるかどうかわかりません。

西川:本人や家族はもちろん、社会のためにも、早期発見・早期治療が大切ですね。

小田原:早い段階から血糖コントロールを行えば治療コストはかなり低く抑えられますし、患者自身のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)も維持しやすくなりますので、まずは健康診断を定期的に受けていただきたいのです。

西川:「何か病気が出て来たら怖いから」と健診を先延ばししている人も多いと思います。

小田原:今は良い薬も出てきていますし、治療法はどんどん進歩していきます。1回の採血だけでもある程度のことはわかりますので、とにかく怖がらずに健診を受けていただきたいです。

西川:ありがとうございます。思い立ったが吉日。早く検診に行った者勝ちですね!

小田原雅人先生 トピックス 東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科のご紹介

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小田原雅人先生をはじめとする糖尿病学会認定専門医がすべての糖尿病診療の外来を担当し、他施設からの紹介にも迅速に対応しています。
また、高血圧・高脂血症・痛風などにも丁寧に対処し、生活習慣病の総合的治療を実践しています。
*初診は紹介状または検査結果が必要です。
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