熊本 マリ × 西川 りゅうじん 【AtoZ対談】

熊本 マリ × 西川 りゅうじん 【AtoZ対談】

ピアニスト
熊本マリ氏
×
マーケティングコンサルタント
西川りゅうじん氏

あきらめない心が奏でる人生の調べ
~世界的ピアニストが語る成功の秘訣~

夢をあきらめないで!

西川:熊本さんはピアニストとして世界的に長く第一線で活躍されているので、天から特別な才能を授けられ、子どものときから身体的にも恵まれていたと誰もが思いますが、実は手が小さいのですね。

熊本:スペインで14歳のときにピアニストになる決心をしたのですが、身長の割に手が小さくて、オクターブが届きませんでした。「ピアノは向いていない」という先生もいましたが、別の先生が教えてくださったお風呂で手をマッサージするストレッチ法を実践し、練習方法を工夫することで、手の小ささをプラスに変えることができました。日本では手が小さいとピアニストになれないという固定観念があり、悩んでいる小学2年生の女の子と手の大きさを比べたら今の私のほうが小さかったことがあります。誰に何といわれようと夢をあきらめる必要はありません!

西川:「好きこそ物の上手なれ」というとおり、好きで続けることで才能は花開くものですからね。

熊本:自分の内なる声が一番大切です。

西川:夢を閉ざされるような心ない言葉を浴びせられたとき、どうやって自分を奮い立たせるのですか。

熊本:悔しい想いをしたときは、絶対にリベンジすると自分に言い聞かせます。やりたいのであれば、何があっても最後まで戦います。そして、自分が納得するまでやり続けます。

二度の脳梗塞で学んだこと

西川:勇気をいただけるお話をありがとうございます。熊本さんはずっと健康で活躍してこられたと思いきや、脳梗塞を二度も患ったことがあるのですね。

熊本:一度目は40代のある日、朝起きたら脳梗塞で左足が動かず、歩けませんでした。ろれつも回らず、病院に駆け込みました。脳梗塞と判明しましたが原因は不明で、服薬で回復しました。

西川:二度目はコンサートの最中だったとか。

熊本:忘れもしない2019年2月7日、コンサートの日でした。直前にインフルエンザで高熱が出て、薬を飲みながら臨みました。演奏中に大量の汗が出て、フラフラになりました。曲目を変えて、やっとの思いで最後まで弾き切って、すぐに救急車で病院に向かい、即入院しました。顔の右側が変形しており、左足がパンパンに腫れて歩けず、2週間、苦しい入院生活を送りました。一番つらかったのは、食べ物はおろか唾液ものみ込めなかったことです。でも、リハビリを通じて1年ほどで回復することができました。

西川:ピアニストの生命である手が動いたのは良かったですね。その後、気をつけていることはありますか。

熊本:二度の脳梗塞の際の共通点は、すごく疲れていたことです。コンサートが重なり、全国各地を移動しながら仕事に全力で取り組んでいました。季節も冬でとても寒かった。極度の疲労と冷えが影響したのだと思います。ですので、あまり根を詰めすぎず、冬場は風邪をひかないよう心がけています。

西川:熊本さんは、ピアノの音色で世界中の多くの人々の心身を癒してこられましたが、ご自身の入院中の心の癒しは何でしたか。

熊本:音楽が唯一の楽しみでした。病院の小さなベッドで過ごす苦しい時間を忘れるために、大好きなヴァイオリンの演奏をよく聞きました。弱っているときは、美しくゆったりとした音楽が心地よかったです。音楽の癒しの力を再認識し、私も弱っているお客様には、心温まる音楽をお届けしようと改めて思いました。

96歳父の長寿の秘訣は……

西川:ご両親ともにご長寿で、お母様は93歳、お父様は96歳だそうですね。

熊本:特に父は、今でも自分の足で歩き、自分の歯でよく食べ、実年齢より10歳は若く見えます。主治医からも「こんなに元気な96歳は見たことがない!」と驚かれます。

西川:90歳以上の男性でそこまで元気な人はまれです。長寿の秘訣は何でしょう。

熊本:食べ物には気をつかっています。化学調味料を使わず、烏骨鶏の卵・牛肉・マグロをよくいただきます。甘いものも大好きです。

西川:熊本家にあやかって、健康寿命を伸ばしたいものです。

熊本:父を見ていると、前向きな考え方を持ち続けることが大切なのだと気づかされます。父は否定的なことを口にせず、常に良いことだけを考える人です。

生演奏で本物に触れよう♪

西川:熊本さんが大切にしていることは何ですか。

熊本:私は人と話すのが大好きです。世界中に一人として同じ人はいません。その人が何を考えているのかなど、自分が知らないことを知りたいのです。人でも場所でも味でも音楽でも、デジタルでは得られない生の体験にこそ価値があると思います。

西川:好奇心を持ち続け、リアルな出会いを大切にしているのですね。音楽も、ライブで聴くと演奏者が発するバイブレーションが伝わってきますからね。

熊本:ぜひ本物を味わっていただきたいです。演奏者も観客の前で弾くときが一番充実しています。美味しいものを食べたらわかるように、コンサート会場に足を運んで本当に良い音を体感してみてください。

西川:心に響く素敵なお話をありがとうございました!

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熊本マリ氏プロフィール

プロフィール

東京都生まれ。横浜市在住。5歳からピアノに親しみ、10歳で家族と共にスペインへ渡る。スペイン王立マドリード音楽院、NYジュリアード音楽院、英国王立音楽院にて研鑽を積む。チェコ・フィルハーモニー管弦楽団やベネズエラ交響楽団と共演するなど、その活躍は国内にとどまらない。演奏活動の傍ら、TV・ラジオへの出演、執筆活動など多才な活躍で幅広い層のファンを獲得している。大阪芸術大学(演奏学科)教授、神奈川県マグカル大使を務める。