石井 良幸 × 西川 りゅうじん 【知っ得健康対談】

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北里大学北里研究所病院 外科部長・教授 石井良幸先生 × 健康寿命をのばそう運動主宰 西川りゅうじん氏

がんになっても諦めないで!早期発見・早期治療すれば大腸がんはほぼ治る
定期的にがん検診を受ければ大腸がんは怖くない

西川:がんは今や日本人の2人に1人がかかる時代。中でも大腸がんが増えており、女性の死因1位、男性の3位です。わかった時には手遅れということも少なくない怖い病気のイメージです。

石井:大腸がんは定期的に検診を受け、早期発見・早期治療すればほぼ治る病気です。行政から検診の通知が来るはずですので、継続的に受診することが大切です。検便による簡易の検査なので約6割の発見率ですが、何より定期的な検診が重要であることに変わりはありません。

西川:大腸がんになった家族がいる人は、やはり、なりやすいのでしょうか?

石井:身内に大腸がんがいる人はリスクが高いと考えた方がいいでしょう。一般的には40代からがん検診を受けますが、家族になった人がいる場合は、前倒しして30代から検診を受けることを考えても良いでしょう。

西川:しかし、検便では6割しか発見できないのであれば、できれば、40歳になったら、より正確な内視鏡検査を受けて、早期発見に努めた方がいいですね。

石井:「心配だ、怪しいな」と思ったら、少しでも早く内視鏡検査を受けることをお勧めします。忙しい人にこそ受診していただきたいです。働き盛りの人にがんがあったら、早く治して仕事に戻してあげることが検診の役割ですからね。

西川:大腸がんになりやすい年齢のピークは60歳代だと聞きます。

石井:一世代前は60〜70歳代がピークでしたが、今や百寿の時代ですから、近年は年齢を重ねるに連れ増加しています。かくしゃくとしておられる高齢者も多いので、80歳で手術も珍しくない時代です。

西川:内視鏡で検査して、ポリープを切除するのに痛みはないのでしょうか?また、どれくらいの時間がかかるのでしょうか?

石井:内視鏡による治療は麻酔をして行いますし、切る場所には知覚神経がないので、基本的には切除しても痛みはありません。専門医であれば、長くても30分〜1時間でしょう。ただ、小さなポリープなら簡単に切除して当日帰れますが、進行して処置が難しい際は安全を考えて入院した方が良い場合もあります。

ステージⅣの大腸がんであっても諦めないことが肝心

西川:よくステージⅢとかⅣとか言いますが、各々どのような状態を差すのですか?

石井:ステージ0はがん細胞が粘膜の中にとどまっている状態。Iは筋肉の層まででとどまっている。Ⅱは筋肉の層を超えて広がっている。Ⅲaは筋肉の層を超えて広がり、3個以下のリンパ節に転移している。Ⅲbは4個以上のリンパ節に転移している。Ⅳは肝臓・肺・腹膜など離れた他の臓器への遠隔転移がある状態です。

西川:ステージごとで、どれくらいの確率で完治するのでしょうか?

石井:現代の医療ではステージⅢまでは治る可能性が高いです。ただ、リンパ節への転移が3個までのⅢaは治る確率が高いですが、4個以上転移したⅢbは再発が心配です。

西川:ステージⅣだと相当に厳しい状態なのでしょうか?

石井:ステージⅣですと5年生存率は20%を下ります。しかし、転移がある人でも切除できれば生存率20%以下だったのが40%ほどに上がりますから、諦めないでいただきたい。

西川:切除できないところまで進行している場合もあるでしょう。

石井:残念ながら取れないと完治がかなり難しくなります。

西川:その場合、どれくらい生きられるのでしょうか?

石井:一昔前はあと半年の寿命と言われていた患者が、今は抗がん剤を使えば3年ほどは生きられる時代になっています。

西川:大腸がんを治療するには、仕事もやめざるを得ず、日常生活に大きな制約が出て来るのでしょうか?

石井:医学の進歩によって、基本的には外来の化学療法が主体となり、なるべく病院に通って治療できるようになっています。副作用を心配する方もいますが、通院して治療できる程度の副作用です。

西川:抗がん剤は高価なイメージがありますが?

石井:一般的に月額約60〜70万ほどかかります。しかし、保険で3割負担の人であれば、高額医療費として請求すれば月額8万円ほどになります。それでも年間約100万円もの負担ですので、やはり、定期的にがん検診を受け、早期発見・早期治療することが何より大切です。

西川:「40過ぎたら備えよ常に」が大切だとわかりました。貴重なお話をありがとうございました。

石井 良幸先生 トピックス 北里大学北里研究所病院消化器外科 03-5791-6345

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