林田 哲 × 西川 りゅうじん 【知っ得健康対談】

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慶應義塾大学医学部 専任講師 林田 哲先生 × 健康寿命をのばそう運動主宰 西川りゅうじん氏

乳がんは早く見つければ治る
12人に1人の女性が乳がんになる

西川:乳がんに対する関心が高まっていますが、女性のがんの中では、亡くなる確率は大腸がんが最も高いですが、なる確率は乳がんが一番高いことは意外に知られていません。

林田:日本では年間8万9000人が乳がんになっています。日本の女性は一生のうちに、12人に1人が乳がんになる計算です。その比率はアメリカの方が高く、白人女性の8人に1人が乳がんになります。

西川:日本では、戦後、増加してきたのですね。

林田:一昔前は、日本の女性は20人に1人しかなりませんでしたが、今や12人に1人と比率が上がっています。もはやいつ誰がなってもおかしくない病気です。

西川:乳がんが進行すると、乳房を手術で取らねばならない場合もありますね。母の字の2つの点は乳首を表すように乳房は女性のシンボルですから、女性にとって精神的にすごく辛いに違いありません。

林田:日本の女性の乳がん患者は40代や50代から増えてきますが、その年代ですと胸を全摘出されるというのはまだ相当に抵抗があります。もちろん、パーソナリティーによっても異なります。命に胸は換えられないという方もいるし、胸がないと生きていく張り合いがないという方もいます。

西川:いくつになっても、やっぱり、とても辛いと思います。

林田:以前より良くなったのは乳房の再建手術が保険で可能になったことです。一世代前は100万円以上の費用を自腹で支払わねばなりませんでした。慶應大学病院でも、数年前までは乳房温存手術の割合が6~7割あったのですが、最近ではすべて摘出して再建する方が増えています。場合によっては、その方が乳房の形もきれいになるケースもあります。

西川:保険が適用され、見た目もきれいになるとは朗報ですね。

林田:形成外科の技術は日進月歩で、相当にきれいになります。しかし、完全に元通りにするのはなかなか難しく、やはり、時間とお金と努力が必要です。

西川:再建するのにも段階があるんですね。

林田:40代・50代の女性といっても人によって再建する目的はさまざまです。私が再建手術を薦める際には、「あなたがどこまで再建したいのかを決めましょう。無理のない目標を定め、そこに向かって努力しましょう」と伝えるようにしています。

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40歳以上は検診を受けよう

西川:健康な女性は、全摘出するステージに進む前に、まず、早期発見、早期治療が大切ですね。

林田:乳がんは早く見つかれば治ります。2センチ以下の乳がんはステージ1と呼びますが、慶應大学病院では、ステージ1の乳がんの場合、10年生存率が約93%です。

西川:早く見つけることができれば、ほとんどが治るのですね。

林田:10年生存率ですから、その間に別の原因で亡くなられる方もいます。そういう方も含めての数字なので、乳がんが原因で亡くなる方はほとんどいません。ですから早期発見が非常に重要なのです。欧米では乳がん検診の受診率は6~7割ですが、日本はどれくらいだと思いますか?

西川:半分くらいでしょうか。

林田:実は2割ほどだけなんです。

西川:そんなに低いんですか?5人に1人しか受けていないなんて!

林田:欧米では、年齢が上がれば上がるほど乳がんになる確率が高くなり、50代以上の人は年1回マンモグラフィーを受けることで生存率が高まることが分かっています。

西川:日本の女性は何歳くらいから乳がん検診を受けるべきですか?

林田:日本の女性の乳がん患者は40代・50代から増え、60代が中心です。ですから、40歳以上の女性は検診を受けるべきだと思います。

西川:先生のお話で何よりも早期発見が大切だとわかりました。横浜市では、40歳以上であれば、視触診検査とマンモグラフィー検査が無償で受けられる案内が送られてきます。すべての女性に受診していただきたいですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

林田哲先生 トピックス 慶應技術大学病院乳腺班のご紹介

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林田哲先生を中心とする慶應義塾大学病院乳腺外科は、伝統と革新、そして思いやりと温かさが特徴で、患者の乳がん克服に大きく寄与している。また、総合大学病院であるため、産科や形成外科など各科との連携も密に取れるので安心。※初診はかかりつけ医療機関の紹介による予約が必要
外来予約センター TEL:03-3353-1257